表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬と大腸の番犬。
先日、オードリー若林さんの新作著書『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』が発売されたという情報を得て、近所のTSUTAYAへ買いに行った。
自分は本屋に行くと確実に腹の調子が悪くなり、着いたらまずトイレを探す。
これはもう儀式みたいなもので、毎度用を足してからでないと店内を歩き回れない身体になってしまった。
本屋で便意を催す原因は、紙やインクの匂いだと聞いたことがある。
鼻呼吸を一切せず口呼吸だけで本屋に突入してみたこともあったが、入店してすぐに「ギュルルルルルル!!!」と下腹が番犬の如く鳴き声をあげた。速攻でトイレへ。
いくら匂いを断ち切ったとはいえ、長年に渡り染み付いた条件反射は簡単には消えないということが分かった。
しかし今回はあらかじめ買うものも決まっていたし、店内を見て回るつもりも無かったので、すぐに目的の本を買って帰るつもりだった。
以下、入店から購入までの流れである。
入店。
↓
本を探す。
↓
本を見つける。
↓
腹が鳴る。
↓
本を手に取る。
↓
本格的に便意が襲う。
↓
レジに向かう。
↓
別の客が会計をしている。
↓
「おい兄ちゃん諦めてトイレ行こうや」
↓
便意が脅してくる
↓
まだ我慢はできる。
↓
前の客の会計が終わる。
↓
安心する。
↓
レジに向かう。
↓
しかし立ち止まる。
↓
考える。
買ったばかりの本をトイレに持って行くのは如何なものか。
歴代の大便小便が大暴れし空気中に邪気が溢れまくっているトイレと、大好きな若林正恭の本を触れさせてはいけない。
直感的にそう思った。
一旦本を元の場所に戻す。
…
…。
……。
………!
トイレぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
🌀
5分後、『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』を手に取る「大腸の番犬」の飼い主こと僕は、レジでTポイントカードを出していました。
それはそれはスッキリとした顔つきでした。
~ fin~
女性の店員さんに「ブックカバーはお付けしますか?」と聞かれたので、2秒考えて「はい」と答えた。
正直、ブックカバーなんか別に無くてもいい。
読んでいて恥ずかしいような本でもないし。
だけどブックカバーを付けないと言った時に、
「うわ、こいつ付けねぇんだ…。汚れに対する警戒心0かよ…。」
と店員さんに思われたらどうしようという若干の心配から出た「はい」だった。
店員さんがレジの下から紙のブックカバーを取り出し、丁寧に折って本に被せてくれている様子を見ながら、自分の中で何かモヤモヤとした感覚が生まれた。
自分が買った本を丁重に扱ってもらい、カバーまで被せてもらっているその状況に何故か少しドキドキしていたのだ。
それとほぼ同時に、過去に携帯ショップでも似たような体験をしていたことを思い出す。
壊れたiPhoneを修理に出しに行った時、普段は雑に使っている自分のiPhoneがめちゃくちゃ優しく扱われていることに少し興奮している自分がいた。我ながら気持ち悪い。
よく分からないけど、これより先に行くと帰ってこれない気がする。
開けてはいけないドアの前で足踏みをしているような気がした。
そんなことを考えているうちにブックカバーの装着が終わり、本を受け取る。
「家に読んでない本が大量にあるのにまた新しい本買っちゃったな…」
「これ読み終わるのいつかな…」
そう心の中で呟き、2匹目の番犬を鎮めながら家に帰った。
ブックカバーを付けてくれた本屋の店員さんは別に美人というわけでもなくめちゃくちゃ普通だった。